第3回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム

『笑顔はひとをしあわせにする~臨床道化師の立場から~』

第3回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム01

第3回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム02

東日本大震災の時、ライフラインが止まり医療機器を思うように使えない中で、私たちは脈をとり、手を握り励まし合いました。それはまさに川嶋みどり先生が推奨する『てあーて』の実践でした。手はアセスメントでき、コミュニケーションでき、心を伝えることができる優れた看護のツールです。

手とあわせて看護の心を伝える大切なツールに笑顔があります。笑顔とともに看護の心をいかに患者に伝えるのか。笑顔とは何なのかを学ぶために、今年のフォーラムは『笑顔』をテーマに開催しました。

看護師が、「こころに残った患者さんとの出会い・笑顔」について語った後、「笑顔はひとをしあわせにする~臨床道化師の立場から~」をテーマに、日本クリニクラウン協会事務局長の塚原成幸さんにお話頂きました。クリニクラウン(臨床道化師)は、小児がんなどで入院生活を送る子どもを定期的に訪問し、遊びや関わりを通して成長をサポートしています。

東日本大震災の激しい揺れと社会変化は入院中の子どもを大きな不安に落とし入れました。塚原さんたちクリニクラウンはベッドの上で緊急地震情報に怯える子どもたちのために、被災地の訪問回数を増やし子どもたちを支えています。

「子どもは口には出せないけれど環境の変化を敏感に察知し、笑顔が消えてしまっている。」訪問し心を引き出すと押さえていた感情を爆発させるように笑うそうです。

塚原さんは「笑顔はしあわせを運んでくる。しあわせだから笑うのではなく、笑うからしあわせになる」と言います。時として私たち医療者は病気を治療することに力を注ぎ、疾患を持った患者さんを全人的に捉えることを後回しにしがちです。子どもたちだけでなく、高齢者の場合でも積極的にコミュニケーションをはかり、患者さんの生活環境や心のあり様を理解した上で医療を行わなければならないと感じた講演でした。

参加者からは『クリニクラウンの活動を初めて知った。「人間は生き抜くために笑う」と言う言葉から力強く生きる勇気をもらった。「人が自分自身を心から愛せるように」援助することは子育てや介護実践にも通じること。』などの感想が寄せられました。

短い時間でしたが笑顔をとおして人間の心を学ぶことのできるフォーラムとなりました。看護の専門職として、コミュニケーション能力を磨き患者さんの治癒力を高めて看護実践を豊かなものにしていきたいと思います。

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