第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム

第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム

「ええ人生やった!その一言のために~地域で支え合う医療~」を開催

10月27日(日)東海文化センターで、第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム「ええ人生やった!その一言のために~地域で支え合う医療~」を開催しました。

今年は、自分らしく老いることができる地域とは、人がおだやかな最期を迎えるために、地域で支え合う医療とは何かを学び交流することをテーマに開催しました。
第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラムはじめに高齢化の進展とともに医療要求が高まり、訪問件数も増える中で奮闘する2名の訪問看護師が日々の事例を通して看護の思いを語りました。病院、診療所と在宅支える訪問看護ステーションの連携が課題であり、患者、家族の戸惑いを一つひとつ取り除きながらの医療実践が手に取るようにわかる報告でした。

第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム次にNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演し、地域医療実践の医師として全国的に注目されている中村伸一先生に、今年のフォーラムのテーマでもある「ええ人生やった!その一言のために~地域で支え合う医療~」と題して講演をしていただきました。
福井県おおい町名田庄診療所所長(町立国保)の中村先生は福井県生まれ、自治医大卒後福井県立病院に勤務し、そこから派遣されて同診療所に赴任。外科研修の2年間を除き名田庄地域の医療を担っています。中村先生がこの診療所に赴任し気づいたこと、それは「家で最期を迎えたい」と望む高齢者とそれを支えたいと思っている家族がいること。そして「おたがいさま」の文化、絆の力のある地域だということです。
第5回看護のよろこびと医療の未来を考えるフォーラム先生はこの地域らしい療養と看取りを実現するために、診療所、役場住民福祉課、社会福祉協議会の全職員で「健康と福祉を考える会」を結成しました。そしてボランティアと住民も巻き込み「保健・医療・福祉の連携」を進めました。その象徴であり中心となったのが「あっとほ~むいきいき館」です。診療所と村の保健福祉課、社会福祉協議会(デイサービス、ホームヘルプなど)生活支援ハウス(高齢者用居住スペース)が同居しています。
名田庄の美しい緑、桜の花をバックに、次々と紹介された9例の症例はまさに「看取り
には様々な形があり、人生の終わりは一人ひとりの選択だと感じるものでした。そしてその選択の条件の幅を広げ、安心したものにしていくのが、自治体の役割であり地域の力なのだと強く感じました。
 中村先生は、「東日本大震災で日本人が発揮した『絆の力』、これが医療再生のキーワード。患者と医療者も、地域の中の人間関係も『おたがいさま』と支え合うことで、多様な共同体としての地域が出来あがるのではないか」と言っています。
中村先生がいるからこそ、名田庄地区では約4割の「在宅死亡率」と福井県内でも1,2番目に低い医療費が実現しています。そして何より「地域の絆の力」が中村先生を名田庄に引き寄せたのだと思います。
涙あり笑いありの講演に参加者からは「感動的な症例にシネマを見ているようでした。その人らしい最期を迎えるために、少しでも寄り添った医療を行いたい」「死というテーマなのにとても心温まるお話で感動しました。死に対する考え方が変わりました」「ユーモアにあふれていて、すべての事例がまぶしく感じられました」「私の地域にも中村先生のような医師が欲しい」など多くの感想が寄せられました。
私たち一人ひとりが地域を構成する一員として、地域のみなさまとご一緒に看護実践を深め、いきいきと輝きたいと実感するフォーラムとなりました。

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